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3月のうた

『デンティストとのエチュード』

予約の日は一日まとわりついて来る記憶の中の歯医者の匂い

「……さーん」呼ばれるままに患者達消えるベージュのドアの向こうに

さかさまの美人歯科助手に覗かれて昨夜かじったガーナを思う

少しずつ強い麻酔を求め出す 痛みより恐怖心を消してよ

硬質な冷たい器具に触れられて仰け反る舌よ 意識の外の

泣いたって止めないくせに「痛かったら右手を上げて」なんて、ひどいわ。

大勢の中の一人と知っていても私は先生しか選べない

「お大事に」目だけで笑う先生はマスクの下に牙を隠して

「もうこれで終わりにしたい」と言えなくて入れられてしまう次の約束

<未来2012/3月号掲載>

*こんげつのよだん
少し大人っぽくも読める一連。抜粋じゃつまらないので全部載せました。全部でもつまら...コホン。
子どもの頃、歯医者は恐ろしいもののてっぺんでした。これみよがしに漂う特有のにおい。キインと脳みそまで響くドリルの音。待合室まで届く他の子どもの叫び声。ぎゃあああ。考えただけで鳥肌。
大人になってもそんな恐怖を抱えている人は案外多いかもしれません。上の連作は、そんな人たちの不安を薄め、ちょっとでも「歯医者行ってみようかな」と思ってもらえるように作りました。嘘です。自分が怖いのを紛らわすべく、診察台の上で必死に短歌を考えていたのでした。

2月のうた

『風邪の日のエチュード』

ストッキング脱げば悪寒がひどくなるストーブの点くまでの数分

生姜湯にショウガをすって指を切る君がいないとこんなにだめだ

痛い、とは聞いてほしくて言う言葉一人の部屋には響きが残る

「見せてみろ、どんくさいなあ」聞こえない声が聞こえてしまう夜です

夢と知れば君に電話もできてしまう ヴィックスヴェポラップを塗りに来て

夜明け前喉の乾きに目覚めれば隣の部屋から水道の音

<未来2012/2月号掲載より>

*こんげつのよだん
今月は風邪の歌。投稿時に風邪でもひいていたんでしょう。もう忘れたけど。
風邪、ひきやすいです。ヴィックスヴェポラップ、子どものころ母が塗ってくれました。効いているのか分からないけどすうすうするのが気持ちよくて、治りかけても「まだ具合悪い」とウソを言ったり言わなかったり。容器は深い紺色だったような。懐かしいな。病気になるととたんに寂しがり屋になるのはなぜでしょう。普段は一人でも平気なのにな。電話越しに聞こえる母の「大丈夫?」に泣きそうになったり。情けないなあと頭の半分で思いつつ、もう半分で思いきり甘えてしまいます。
さて、来月のエチュードはどんな一面をお届けしましょう。また見て下さいね。んがくく。

1月のうた

『眠りについてのエチュード』

夜もすがら北北東に星よ降れきみの健やかな眠りのために

気がついているかい君が眠るとき夜の向こうで星が生まれる

ほらあなをさがすぼくらがよりそって眠るのにぴったりのほらあな

きるきるとほしふるよるのまんまるのせかいに眠るぼくのきみです

朝の窓ガラスを抜けて届く陽に夢中で飛んだ羽根を広げる

<未来2012/1月号掲載より>

*こんげつのよだん
春眠暁を覚えずという言葉がありますね(私の場合は年がら年中ですが)。眠るというのは気持ちのいいものですね。学生の頃だったかなかなか眠れなくなったことがあって、多分不安とかもんもんと考えごとしたりで朝になってしまっていました。あの頃の夜は勿体なかったなあ。戻って寝直したいなあ。
あ、今はよく眠れます。ぐっすり。でも寝付きが悪いので、その点では本当にのび太くんを尊敬します。眠りの神に愛されてるなんて、少しジェラシー。
というわけで(?)、今月から新しい気持ちでまた頑張ります。お暇なときにはお付き合いください。

12月のうた

『バスタイム』

からっぽの人間なのに思い出が年々溜まって重くなります

服を脱ぎ化粧を落としプライドを見栄を剥ぎやっと裸になれる

憎らしい脂肪をつまむ 恋すれば欲しくなるアフロディテの肉体

触れられた順に体を洗いおり耳の後ろは確か四番目

騒がない シャワーが水に変わってもしみて初めて傷を知っても

バスタブに沈めばこの身一つ分のお湯がこぼれる 後悔はしない

海色の湯舟に揺れて漂えりかいそうのバスはどれも寂しい

絵に描いた大人の女子は湯上がりにコンビニ限定スイーツを食む

<未来2011/12月号掲載>


*こんげつのよだん
バスタイム、なんていうと色っぽく聞こえますが、私の実体はカバの水浴びに近いです(誰がカバやねん)。下から二番目の歌がちょっと意味不明かな。だとすれば、この連作のはじめの方に組み込んであった、海草成分配合の入浴剤を入れる歌がボツになった為です。ふざけた歌だったのでボツは完全に納得なのですが、他に影響が出るというのは一首ごと独立できていないということで猛省してます。
ちなみになんでOLさんは湯上がりにヨーグルトとか食べるのでしょう。私チョコレートの方が良い。(←美意識の低さの露呈)

11月のうた

『夏の色』

巻末の元素記号は夏の色水平線をなぞりに行こう

生まれたては脆くやわらか愛しすぎて強く抱けば潰れる新芽

さわるなと言われればさわりたくなるしびれて投げ出された両足

情けなく歪む眉毛が可笑しくてあしのしびれたあなたをあいす

私ごと別世界へと倒れ込むあなたの髪に絡む浮草

大振りのピアスは邪魔になることをざらつく実感として飲み込む

触れれば閉じるイソギンチャクの唇で言葉を気泡のまま閉じ込める

スプーンの先で潰せば立ち昇るペパーミントの命の香り

二人なら怖くなかった打ち寄せる波の向こうに光が見えて

ポケットの中で歪んだピアスの輪はじけば再生される波音

<未来2011/11月号掲載>

*よだん
11月分、今更の更新になってしまいました。いろいろあってねえ。
作ってから掲載まで3ヶ月のタイムラグがあるのですが、私は掲載時期に合うように季節を先取りして詠んでいたことがありました。そのときに作者のリアルタイムの歌の方が伝わるというアドバイスを頂きまして、今回は8月に詠んだ夏の歌です。でもやっぱり冬に読むと寒いですね へへへ。
私は大抵の場合、読んでくれる人や発表できる時期も意識してしまうので、そういう点では芸術家にはなれないんだなあ。圧倒的なリアルで自分の世界に引きずり込む力が足りない。(…そういうレベルに達してから言えよw との総ツッコミが聞こえる、まあいいか(笑))というわけで(←強引なまとめ方)、このブログにある言葉たちが少しでもあなた様を楽しませるものであることを祈って。

10月のうた


『reflection』

なぜそんなに澄んでいるのかわたくしのきたなさばかりきわだってくる

さも会えて嬉しいという顔をして私に笑いかける俄雨

「好きです」と言われて「ありがとう」と言うお互い礼儀を知っているので

やさしさを優しさとして受け取れず開いた手からこぼれるシャトル

傷付けてごめんねはじめての人に傷付けられることはごめんで

可哀想な人という名をいただいて以降そう呼ばれる甘んじて

脈絡もなく見返りを求めない手が降りてきて驚いている

はじめてで力加減が分からないけど嬉しくて手を握ります

あたたかい人に抱きしめられたのでそうでない人をあたためてやる

<未来2011/10月号掲載>

10月のうたです。
最近ブログを更新するネタも気力もなく滞っていましたが、1ヶ月以上放置すると勝手に広告が上がってしまうようで慌てて更新しました。
内容は、、、ネクラ露呈月間につきコメントしづらいかもしれません。これを詠んだ7月頃の私どうしたんだ。暗すぎるだろ(←いえ、いつもどおり)
胸キュンを求めていらした方はごめんなさい(←いえ、いないから)

8月のうた

8月のうたです。
お気軽にコメントお聞かせください。

『ひとり上手』

大人らしい大人でいたいこんな日は林檎のジャムを解凍しよう

無意識に何度も噴いたリセッシュで彼のにおいが消えてしまうよ

「寂しくて泣きたい夜もあるだろうが見てない所で泣くのはおよし」

少しずつ一人上手になってゆくもうすぐ粗のとれるアラサー

誰も手を伸ばしてくれやしないので森林浴(リセッシュ)の香に抱かれて眠る

 <未来2011/08月号より抜粋>

・・・・・
今ごろ8月分の更新ですが、べ、別に忘れていた訳じゃないんだからね!めんど……どれを載せるか吟味していました。9月号ももう届いていますが、多分アップしないと思います。

内容はというと。決してリセッシュの回し者ではありません。

7月のうた

今月の歌 ~初夏のぷち短報告をそえて~

『自転車』

 漕いだぶん進むシステム単純な構造がいい漕いだら進む

 パンパンに空気を入れたら後輪が待ちきれないと転がりだした

 漕いでも漕いでも疲れないです不思議ですこのまま泉まで行けそうです

 ただでさえ弾けてしまう春なのにパンパンのタイヤ@砂利道

 スピードをぐんと上げれば両膝はまるで無重力の疲労感

 鳥に追い抜かれて雲に追いついて日暮れまでもう少し行けそう

 あの日手を放されてぐらつきながら自分で探してきた道標

 倒れたら起こす倒されたら起きるそれだけのこと自転車のように

 <2011/07月号>

・・・・・

7月17日放送 ぷち短 企画テーマ「自転車」で天野慶さんに一番最後の歌をとっていただきました。何を隠そう、自転車の発想はもう出がらししか残っておらず(笑)ここから出しちゃいました。 @はそのままアットとお読みいただければ幸いです。

6月のうた

『三 月 の こ と』

 揺れ終わり胸で不安が揺れ始める宮城に暮らす人を思えば

 お前だけ連絡取れず更ける夜心配させるなんて生意気

 不器用なお前ばかりを思い出すどうか器用に生き延びておいで

 弟は故郷一番のいい男ほんとよほんと運のいい男 *故郷=くに

 弟の細くない指思い出す、私と同じ爪の形の

 かぶったら負けよとせーので指を差すアイスクリームのチラシ挟んで

 くだんないこどでしぬほど笑ったなそれにしてもあれはくだんねがったわ

 電話など普段はして来ないお前が「大丈夫」と二度電話をくれる

 姉ちゃんのことはいいんだよ、お前は食べているのか寒くないのか

「んじゃな」と言って電話を切った不器用で照れ屋な私のかわいい弟

 <未来2011/06月号掲載>

4月のうた

4 月 の う た 

『渋谷からー』

色のない映画一本きみと観てそのまま歩く渋谷区渋谷

人混みを擦り抜け数歩先を行く男のシンメトリーな両耳

ごらん、この喫茶店には人に似た姿の渡り鳥が飛来する

白黒のウエイトレスが連れてくる喫煙席のにおいあれこれ

ふときみの視線が留まるテーブルの木目なぞっている指先に

背中までほとる私の身代りかポットで冷めてゆくダージリン

雪解けのように次第に色付いて渋谷が喧噪を取り戻す

セーターの厚みひびいてむくむくのコートは二の腕が苦しそう

プライマリーカラーを抱いて重なれば私たち白い光になれる

来月はお会いしましょう原宿の駅の後ろに広がる森で

<未来2011/04月号>

・・・・・

先月はまるっと更新わすれてしまいました。
2ヶ月振りです。
冬に詠んだから冬のうたばっかり。
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