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ぷち短「隣り」110227

2011/2/27 NHKラジオ 夜はぷちぷちケータイ短歌
月間テーマ「隣り」

ブレーキのかかるたび雫を落とす隣りの人の傘が気になる
・・・・・・・・・・・・・放送内 田口綾子さん選

私の心はネコのひたい、でお馴染みの小林です(←なじみたくない(笑))
久々の放送内でした。しかも田口さんは初めてかも!
「隣り」で相聞を出してはボツ続きだったので、最終週に思いきって色恋沙汰を捨てました。だからといって、こんな歌じゃなくてもねえ。。。
二句~三句のリズムについては、ビクビクしつつ出したので、田口さんに肯定的にとっていただけたのは嬉しい驚きでした。どうもリズムにヘンな癖があって、気をつけなきゃとは思うんですけどね。

今朝は冬に逆戻りの冷たい雨で、久々にバスに乗りました。隣りの人の傘を気にしたのは言うまでもありません。←(笑)
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NHK短歌2011年3月号

発売中のNHK短歌3月号に歌が掲載されています。
佳作2首です。

See you!と手を振るウォンの夢を見るこれで何度目のさよならだろう
・・・・・・・・・・・・「夢のうた」加藤治郎先生 選


はずまない会話がしたい結露するガラスの外はあいまいな白
・・・・・・・・・・・・「話」東直子先生 選


1首目:ウォンは大切な友人です。最後に会ってから6年近くたつのに、未だにウォンの夢を見ます。夢の中のウォンは顔も声もくっきりとして、私はとても幸せで、でも目覚めると、もう会えないことを悟って泣きます(いや、生きてますよ!自国にいるのです)。まー、私の異常な行動力(数年に一度発揮)で、突然飛行機に乗っちゃうかもしれないけど。以前ウォンの歌を出した時はボツだったので、誌面で見つけてとても嬉しかったです。


2首目:冬の日です。私は話がヘタクソですが、できればはずんだ会話がしたいです(笑) 話という題に「会話」しか浮かばず、会話→どこにしよう→くつろいでる感じがいい→家だろ、と単純な発想です。が、みんな大好きほむほむの「ゆひら」のように、室内の恋人たちというのは私には大変 うらやま… 魅力的なモチーフです。

2月のうた

今月のうたです。


誰の手もどんな視線も届かない部屋へあなたを誘拐したい

雪深いこのアパートに私たち二人息衝いてるミステリー

じりじりと闇は深まり世界から切り離されてゆく弱者たち

お互いの熱奪い合いする度にあなたの中に見つける灯り

八本の肢を絡めて眠ろうか二月の朝が一番寒い

<未来2011/2月号より抜粋>



アドバイス、疑問、感想etc...なんでもぶつけてください。
冷たいかけら当ててください。

ぷち短「告白」110214

2011/2/13 NHKラジオ 夜はぷちぷちケータイ短歌
企画テーマ「告白」

伝えたいことがあるなら言ってみてこの雪片が地に着く前に
・・・・・・・・・・・・・放送外 加藤治郎さん選


告白…。なんてテーマを出してくるんだい、夜ぷちよ。
なんにも浮かばなくて、学生の頃(随分前だな 笑)に詠んだ歌をもとに作りました。が、

もとのうた:
沈黙は “Yes” だとして、一つだけ聞かせて。私のこと愛してる?

これは短歌ではなさすぎるだろうと思いつつ、こんな感じでネガティブな告白ネタにしようと練っていたら、全然違うものになってしまいましたとさ。下の句は、〆切の金曜正午ごろに雪が降っていたから勢いで。。。せっぺんとも読むらしいですが、ゆきひらの方が音がきれい。

放送中は、加藤先生の「今年のバレンタインは自信がある」的発言にニヤニヤしました。誰からもらうのだろう。いいなあ。

ぷち短「風呂」110206

小さなアパートの小さなユニットバス
そこへたっぷりの湯を張って冷えきった身を沈めると、
浴槽から体ひとつぶんのお湯がこぼれた。

感情に任せた言葉がどれだけあなたを傷付けるか
あの時の私にも分かっていたはずなのに、言わずに居られなかった。
押し付けた言葉はあなたに届いてしまった。
流れ出たお湯は、もう戻らない。

鼻の奥が急につんとして、ごまかすように頭までもぐった。
ごめん。
届かない想いが泡になって消える。

電話してちゃんと謝ろう
そう思いついてお湯から顔を出した時、
部屋に置きっぱなしの携帯があのメロディーを奏ではじめた。


バスタブに沈めば体ひとつぶんお湯がこぼれる 今日はごめんね
・・・・・・・・・・・・・放送外 だいたひかるさん選

2011/2/6 NHKラジオ 夜はぷちぷちケータイ短歌
企画テーマ「風呂」

SS「恋の香り-No.26 絵里子の場合」

 美容師は嫌いだ。オシャレにはひどく敏感で、しかし人の心には恐ろしく鈍感な生き物。一様に、髪を伸ばし髭を生やし、折れそうなほど細い腰と不自然に長い手足。薄い笑顔を浮かべながら、初対面のくせに友達のように話しかけて来る。
「だからオレ思うんだけど、水曜は休みにしちゃえば良いよね、実際」
クリーム状のカラー剤を塗りながら、美容師は大袈裟に肩をすくめて言った。何の話だよと思いながら、私はその視線を避けるように鏡から目を逸らす。
 美容師が嫌いだ。無神経で軽率な男を思い出す。目に掛かるほど伸びたその男の髪は、灰色のようなくすんだ色をしていた。口元には無精髭、不健康に痩せているくせに背はひょろっと高く、いつもへらへらと笑っていた。浩之。浩之はどうしているだろう。もう一年になる。あの性格だ、私のことなど忘れてしまったろう。そんな男を思い出す自分に苛立つ。そして思い出させた美容師に、嫌悪感がまた少し膨らむ。

 出会った当初、浩之はフリーターで、駅から少し離れた雑居ビルの4階にある埃くさいレコード屋で働いていたが、客がほとんど来ないとは言え、気まぐれですぐ休むのでいつの間にかクビになってしまった。クビだってさぁ、と笑う浩之はどこか楽しげにさえ見えた。
「ねぇ、二股かけてるでしょう」そう切り出した時も浩之は笑っていた。いつものようにへらへらと、少しも悪びれずに。
「違うよ、エリコ」長い指が伸びて来て、私の腕を引き寄せる。
「何が違うの。山根が見たって教えてくれた」
「二股じゃない。三、四…四股?」それから私の右耳に囁く「でも一番はお前だから」
耳の中の産毛がぐわっと逆立つのが分かった。
「くたばれっ」考えつく限りの悪態を吐いて、私はその部屋を出た。呆れすぎて涙も出なかった。振り返らなかったし、追っても来なかった。浩之とはそれ以来会っていない。

「はい、おしまーい。イス起こすね」シャンプーを流し終えて美容師が声をかけて来る。その馴れ馴れしい態度は気に入らなかったけど、頭を包み込むタオルの感触は心地良い。彼は深夜番組について話しながら、ごしゃごしゃと私の髪を拭いた。それから淀みない動作で、タオルを絡めた指を 私の耳へ入れようとする。その時、
「やめて。」咄嗟に声が出た自分に驚く。
美容師の動きが一瞬止まり、それから小さく「すいません」と謝るのが聞こえた。
「あの、ごめんなさい。違うんです。少し…くすぐったかったから」
 私が何とか微笑んでみせると、美容師はほっとした表情を浮かべた。そして器用に耳を避けながら、再びタオルドライを始める。

「ありがとうございましたー」
見送る美容師の声を背中に、私は駅へと向かう。アッシュに染めたばかりの髪はまだ特有の刺激臭がした。目にしみるようで思わず歩みを止める。動き続ける町並みの中で今、私だけが立ち止まっている気がした。


━━━それ以来すべてを洗い流したのに右耳はまだ侵されたまま━━━
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