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SS「恋の香り-No.17 ユリの場合」

世界で
一番良い香りだと言われるChandan香の煙に包まれながら、私は目をつむる。
まぶたを閉じて思い描くのは、当然 そうたのことだ。

ずっと昔、私たちが初めて会ったあの春の日に心を馳せる。
延々続くつまらない挨拶を聞きながら、“偉そうに理屈ばかりこねる嫌なヤツ” そう思った。
第一印象は最悪、出会って一瞬で大嫌いになった。

それから
偶然街で見かけたのはいつの事だったか。何気なく入った古着屋の店の奥に、いつものダサいスーツ姿とは違う、私の知らないそうたが居た。
私に気付くと少し驚いた顔をして、やがてふわりと笑う。
簡単だ、
その一瞬で私は恋に落ちた。
落ちながら、私はそうたへと手を伸ばした。
一人で落ちるのはやっぱり悔しかったのだと思う。

「あのとき買ってくれたんだったな」お香から立ちのぼる煙に手をかざして私は呟く。私たち二人は出会うべくして出会った。すべては決まっているんだよ、そうた。

地球上のどこを探しても、私をこれほどまでに切なくさせる人はいない。
誰も、彼がするようには私を悲しませられないし、そうた以外を私は求めない。

そうたは私を上手に傷つける。あきれるくらい爽快に。まるで「お前は大勢の中の一人に過ぎない」というような冷たい態度で、彼は私を突き放す。

傷つくと分かっていても諦められない。切なさが積もって、なおさら愛しくなる。
できるなら全てを委ねてしまいたい。彼の全てを手に入れたい。
たとえそれが世間に、社会に認められないとしても。
だから ねぇ、もう少し私のことを見てよ。
それとも、違う出会い方をしていたら真っすぐに私を見てくれた?

一般論は聞き飽きた。その理性の檻を抜けて、私の手を取って。


ねぇ先生。


━━━━ 汚れなき恋まで社会は罪と呼ぶ あなたを愛するわれは罪人 ━━━━




古いブログから掘り起こしたお話を加筆・修正したものです。
日付は2005年11月。……その頃すでに私、学生じゃないんですけどね(笑)。ちなみにChandanは世界で一番売れている香だそうで、世界一良い香りというのは勝手な解釈です。
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